書評 「米国製エリートは本当にすごいのか?」






東京大学慶應義塾大学の日本勢とスタンフォード、ハーバードの米国勢の財務内容を比較します。

日本勢 年間収入は東大の2098億円慶應の1647億円です。
米国製 年間収入はスタンフォードの約2800億円(1ドル80円換算)、ハーバードの約2960億円です。

収入の中身は、東大の収入の4割は国からの補助金で、その他、国からの援助があるので、
収入の半分以上を国に依存しています
慶應補助金比率は1割ほどで、収入の約6割を授業料、病院収入によって捻出しています。

つまり、日本の大学の多くは、「お上頼り」「授業料頼み」「病院収入頼み」の構図となっています。

米国の大学は、主に資産運用から収入を得ています。その原資が、莫大な寄付基金です。例えば、2.2兆円の寄付基金を持つハーバードは、収入の実に35%(約1000億強)を資産運用から得ています

米国は日本以上に学歴社会です

とりわけ、ビジネススクールロースクールの価値は日本とは比べ物になりません

ビジネス系・政界で要職にありつくには、一流大学のMBA( 経営学修士)やJD(法学博士)やその他分野の博士号がないと厳しいのです。シリコンバレーでも学歴は重要です。グーグルが典型
例です。

同社が学歴を重視する理由は「アカデミックの世界で好成績を残した人間は高い学習能力と
分析能力と地頭のよさが備わっている」
と想定しているからです。

「韓国では、皆が医者か弁護士を目指して、過酷な競争をしている。本当に疲れる」と韓国在住
の長い日本人が嘆いていました。

現実に、医者、弁護士、公務員、サムスン、LGなど一流企業の社員になれる若者は全体の5%ほどです。そのほかの若者に残されているのは、平均月収88万ウォン(約7万円)の非正規社員の仕事が大半です。いったん競争に敗れると、低賃金で働き続けることしか人生の選択肢がありません

いくら、ビジネス本を読み漁っても、よいビジネスパーソンにはなれません。こういうハウツー的な部分は、実際に経験を積み重ねる方が、100冊の本を読むより効果的です。(例 「相手をほめるときは笑顔で、怒るときは怒った顔 など。ビジネスマナーなども)。

すなわち、いくら米国の大学院が日本より実践的だといっても、22歳のときに、米国の職業大学院に留学するのと、日本企業に新入社員として入社するのとでは、後者の方が身のあることを学べる可能性が高いのです

しかし、米国の大学院教育が役立たないわけではありません。

米国の強みは「演繹的に物事を考える能力」「限られた情報から物事を予測する能力」の2点です。

仮説を立て、それを検証し、修正していきます。ビジネススクールでは20代の若者に財務や経営戦略を教え込み、データや数字から情報を読み解くトレーニングを行います。

彼らは、平社員からたたき上げで現場を知るという、日本的な経験がなく、現場感覚に乏しい一方で、抽象的に物事をとらえる能力には長けています。だからこそ、ITや金融といった、ある種のヴァーチャルリアリティ的な空間で圧倒的な優位を保てるのです

まず、エリートは、大まかに3つの種類に分けられます。

「経済エリート」「政治エリート」「軍事エリート」です
米国に当てはめると「経済エリート」はウォールストリートで働く金融マン、大企業の経営者層、
そしてシリコンバレーで成功した起業家などです

「政治エリート」は政治家、ホワイトハウスで働く大統領側近、高級官僚、外交官、そして、ワシントンに生息するシンクタンクの知識人などです

弁護士、裁判官などの法曹エリートも広い意味での「政治エリート」です。

最後に、「軍事エリート」は国防総省、陸軍、空軍、海軍の上層部、そして、軍事産業の幹部たちなどです

このうち、最も力が強いのが「経済エリート」です

中国は完全な「政治エリート優位型」です

政治力を持つものが、富、権力、名声すべてを手に入れます。

ハーバードでMBAを取った人間の多くが、ベンチャーに挑戦するのも、いつでも1000万円以上
稼げる仕事に戻れるという安心感からです

大企業の敏腕エンジニアが、ベンチャーに転職するのも、ベンチャーが失敗しても、次の働き口が簡単に見つかるからです。

日本は失敗したら、大変です。その違いが、日本とアメリカのベンチャー精神の発達に表れているのでしょう。

以上。

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